皆さんは機械を取り付けるだけで電気代が安くなるなら、そんな上手い話はあり得ないと思われることでしょう。
確かにそんな魔法のような機械はありません。
電気代が安くなる秘密とは、払い過ぎている電気料金の契約内容を見直し、その契約に基づいて電力会社が認めるブレーカーを設置するというものです。
それだけ?と思われるかもしれませんが、それだけです。
ただし、すべての方が契約内容を見直すだけで電気料金が安くなる訳ではありません。
まったく、安くならない場合もあります。
それでは、契約内容の見直しで電気料金が安くなる仕組みを具体的にご説明します。
1.見直しで安くなるのは、動力電気を使っている場合だけ。
エレベーターやポンプがあるようなマンションでは、一般家庭の100Vとは違い200Vの動力電気を使っています。
そして、この動力電気を使うために、一般的には電気料金の契約は「負荷設備契約」といった契約になっています。 この「負荷設備契約」の料金設定は、設備機器が使う“最大の電流値”を合計した場合の電流値で基本料金を決め契約しますので、24時間動きっぱなしではないエレベーターなどでは料金が割高になります。
24時間フル稼働で電気を使う工場などと同じ料金体系といえばわかりやすいでしょう。
こうした問題を解決すべく、平成7年に電気事業法の改正により、新たに「主開閉器契約」が誕生しました。
これは、24時間、機械がフル稼働しないような小さな町工場やエレベーターなどがあるマンションにとって、割高な基本料金を支払わずに済む契約です。 しかし、電力会社は、貴方のマンションは「主開閉器契約」にした方がお得ですよとは教えてくれません。
自ら申請しない限り、契約は変わらないのです。
そんな契約があるの?と思われた方は、検索エンジンで検索したり、電力会社のホームページから探したりしてみてください。 すぐに見つかると思います。
2.ズルはできません。
そうか、契約内容を見直すだけで安くなるのか!と思われた方がいるかもしれませんが、契約内容を変更するためには、最大電流を明確に判定できる主開閉器装置の設置が必須条件になります。
これは、電力会社と契約した以上の電力が使われないように設定することのできる装置です。
電力会社としては、使用する電力を低くして契約しながら、大量の電気を使用されるような事態が発生するようであれば、電気料金を真面目に払ってくれる人がいなくなり困ります。
また、想定以上の電力が流れると電線が焼け火災の原因にもなり、危険も伴います。そうしたことから、「主開閉器契約」を選択するには、電力会社と約束した以上の電力が使われないようにする主開閉器装置が必要になるわけです。
3.主開閉器装置は魔法の機械ではありません。
主開閉器装置と呼ぶとどのような装置なのかイメージしづらいと思いますが、簡単に言えばブレーカーです。
想定した以上の電流が流れるとブレーカーが落ちて電流を遮断する…どこのご家庭にもあるあのブレーカーを想像してください。 もちろん、家庭用とは違いますが、役割は同じです。
だったら、普通の安いブレーカーを使っても「主開閉器契約」ができるのでは?と思われた方も多いのではないでしょうか?答えはYESです。
ただし、問題が発生します。
4.普通のブレーカーではダメなのです。
普通の安価なブレーカーでどのような問題が発生するのかをご説明する前に、まず、従来の一般的なブレーカーの仕組みをご説明します。
ブレーカーは安全装置として、想定した以上の電力が流れるとバイメタルと呼ばれる金属板が熱によって湾曲することで、スイッチが入り電流を遮断する仕組みです。
つまり、夏と冬では金属板が熱で湾曲するまでの時間が違ってきます。
夏はブレーカーが落ちやすいといった原因は金属板がそもそも、温度の影響を受けているため、早く湾曲しやすくなっているためです。 逆に冬はブレーカーが落ちにくくなります。
その他、一度ブレーカーが落ちるとまたすぐに落ちるといった現象も、金属板が冷えていないことが影響しているのです。
また、一般的なブレーカーは、JIS規格で性能を規定されています。
例えば、想定した電流が125%流れた場合には、1時間以内に遮断するといったルールです。
これは、裏を返せば、1分後に遮断しても良いし、1時間ギリギリでもいいということになります。
しかし、金属板が発熱することで作動するブレーカーの場合、使用する気温の違いを考慮し、1時間ギリギリで作動するブレーカーは作ることができません。 結果、早く落ちるように設計されています。
ここがポイントです。
普通のブレーカーは1時間ギリギリで落とすことはできず、気温によって、同じ電気の使用量でも落ちる時もあれば、落ちない時もあるといったタイムラグが発生します。
したがって、一般のブレーカーを使う場合は、余裕をかなり持たせた想定で「主開閉器契約」をする必要性があり、こうした要因から、自ずと料金を引き下げる効果が低くなってしまいます。
一方、電子ブレーカーは、熱によって作動させるのではなく、コンピュータで制御し、JIS規格ギリギリの制限時間近くまで使った場合に落とすように設計されています。
つまり、一般の熱で作動するブレーカーと比較すれば、使用する想定電流を低く契約することができ、結果料金を引き下げることができるというわけです。
だったら、電子ブレーカーならすべて適切に料金を下げることができるのかと言えば、これも少し違います。
5.経験による専門知識が必要です。
電子ブレーカーを販売する業者によっては、電子ブレーカーを設置した場合のお得感をお客様に感じてもらえるようにと、かなり無理をした電気使用量の設定や、知識がないことなどによって、実際必要な使用電流の契約をせずにトラブルになることがあります。
どんなトラブルかというと、例えば、地下があるような物件の場合には、浸水時に備えてポンプが設置されていますが、そのポンプが作動した時にブレーカーが落ちるような問題であったり、消防設備に電流が流れるとブレーカーが落ちたりするような危険性もあります。
このように、すべての電気設備に電流が流れた場合を正しく計算して想定するには、豊富な経験と専門知識が必要になってきます。
いかがだったでしょうか。 最後までお読み頂き、電気料金が安くなる仕組みをご理解頂けたと思います。
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もちろん、ご質問や調査依頼もお気軽にお申し付けいただければ幸いです。
M’sライフサービス株式会社 代表取締役 宮嵜 嘉久